太陽が熱い。夏だから仕方がない。余裕なく日陰を探している時に、旬くんを見かけた。
旬くんは20歳半ばの長身のサラリーマン、二枚目ではないが人懐こい顔をしている。これまで何度も見かける旬くんと
オラー(天使)とは何の巡りあわせなのかはわからない。
関わりを持つ必要かあるかどうかもわからない。
神様からも何も教えてもらってはいない。
でも少しぐらいわからないことがあってもいいと思う。
- 天使のオラーは神様以外の心の声がわかるのだ。
旬くんはイライラしている。気温より熱くなっている。
喉も乾いているようだ。苛立っている。
理由は休日の朝一からパチ屋に行ったはいいが大当たりの一つも引けず、持ち金がなくなった。このままでは納得できないとゲーム続行のためATM機に向かっているのだ。もちろん貯金なんてものはない。勧められて作ったカードローンにヘルプしているのだ。(神様ヘルプじゃない)
「一度でも当てる。当たらないと気がすまない。」それは男のプライド?意地?旬くんの生き方なのだ。
熱くなり、やめ時もわからない男だ。
よく言えば、集中力があり諦めが悪い。
そもそも旬くんは遊びたいお年頃。
あれもしたいこれもしたい。あれも欲しい。これも欲しい。しかしながらお金もなければ運もないようだ。
そんな時に会社同僚が昼休みに宝くじを一枚買ってきた。
1枚200円のスクラッチくじで、削って当てるタイプだ。
それでいきなり2等の5万円が当たりラッキー・・・
それからちょっとしたスクラッチブームになった。会社の同フロアで外出する人に1,000円2,000円とお金を預けスクラッチを買ってきてもらう。遊びだが本気だ。
買って来てからその場で削り出す。10枚買えば200円や1,000円が当たる人がいた。追い銭しスクラッチくじを買い続ける者もいた。中には10,000円も出てきて大盛り上がりとなった。
それで金欠になった旬くんはカードローンを覚えた。
それが今では何社かに増えており、更に知恵がつき毎月の返済は利息だけというシステムを覚えてしまった。
ギャンブルで一攫千金。借金返済が生きる目的になっている。
旬くんはギャンブル好きの多重債務者
それに、周りの人に影響されやすく、すぐに熱くなり、すぐに愚痴を言う。
見えないストレスを試され、更に自分でストレスを突っ込んでいく自滅型だ。
旬くんの魅力は特にない。少し人懐こい顔ぐらいだ。
- オラーは天使だから何でもできる。
今の旬くんの状況をいつでも一変することができる。
旬くんの障害を取り除き、リセットすることも、
超ラッキーにすることも・・・
旬くんにはどんな未来はあるのか?
ただし、物語のキャラクターとしてはちょっと弱い。
しばらく旬くんのそばにいて様子を見よう。
まるで縁日の金魚すくいで気まぐれすくった金魚を家に持ち帰るように。金魚は何があったかわかるまい。
続