ケイ・スリー
・・・朝起きると、ぼくは水の中をバタバタと水をかいでいました。・・・
・・・ぼくは、ぼくが水槽を洗っているうちに逃げ出しました。・・・
(後編)
どこをどうにげたかわかりません。これは悪い夢に違いない。それでもどうすれば目が覚めるのでしょう。ぼくは、何が何だかわからないまま、逃げました。草原から原っぱにぬけると、虫の声や鳥の声が聞こえてきます。カメになったぼくには動物たちが何を話しているのかもわかります。そして、しばらく行くとアマガエルさんとアヒルさんたちに出会いました。
「おっ、カメさん。どこから来たんだい。」がアマガエルさんはケロケロと話しかけてきますが、
言葉をわかっても、ぼくは答えることができませんでした。アマガエルさんは、あきれた顔をして「カメさんよ。何も答えてくれないのかい。ぼくがおしゃべりみたいじゃないか。今さ、アヒルのお母さんがあたためているタマゴから雛たちが生まれそうなんだ。」「クッワワ、クッワワ、早く出ておいで子どもたち。さあ、元気な顔を見せておくれ」お母さんアヒルは、優しくタマゴたちに声をかけます。お父さんアヒルは、それを見守っていました。するとコツコツコツ、コツコツコツと殻つつくたくましい音とビヨピヨというかわいい声が聞こえてきました。そしてついに元気な七羽のアヒルが生まれました。
「おめでとうアヒルさん。」アマガエルは、うれしくてピョンピョンと跳びはねました。アヒルのお母さんもお父さんもニッコリと微笑んでいます。
「カメさんよ。キミからは、おめでとうの言葉もないのかい。ブッキラボウなやつだな。」
アマガエルは少し怒ってぼくの甲羅に跳んで来ました。
「カエルさん。無理を言うなよ。カメさんは、声が出せないんだ。でもうれしそうな顔で十分にわかるよ。笑顔はいいね。笑顔は、幸せを運ぶんだ。」とお父さんアヒルが言いました。
「笑顔か・・・」とぼくが、感心していると、ぼくは人間の姿にもどり、ふとんの中で目覚めました。ぼくは、急いで水槽を見に行くと、そこに、かめぞうが元気に泳いでいました。
「お父さんお母さんにおはよう。かめぞうを見つけてくれてありがとう。」
お父さんとお母さんはニッコリと微笑んでいます。
終