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旬くんにはわかるまい〜朝の風景編④

④ 旬くんが気になる乗客がいる。30前後の女性だ。

見るからに独身、オタク系、黒髪に黒色眼鏡、覗けた顔も美人でもないし可愛らしさらしさも見つからない。化粧ひとつしていない。愛嬌も愛想もない。目立たない。素っ気ない。

控え目。大人しい。気配がない。

それなのに、なぜ気になるのか?それは、旬くんにない才能があるからなのだ。

彼女は忍者なのだ。彼女はいつものバス停から乗り込む。ほぼ座席は常にアンテナを張り、下車ボタン押す人の席前に陣取り必ずその席を死守、ゲットするのだ。それが二人掛けの椅子でもお構いなし。隣が中年オヤジでも平気で腰掛ける。そんなのお構いなし

さり気なく、鮮やかに、ゲットする。二人掛けの椅子にをゲットしても、一人用の席が空きそうだとスルスルスル滑らかに移動するのだ。そこまでして椅子に座りたいのか?、サバンナで獲物を追うハンターのように息を殺しぎりぎりまで忍び寄り隙あらば一気に仕留める。まるで椅子取りゲーム、サバイバルゲームを楽しんでいるようだ。

朝から楽しそうだが、疲れないのか?

そんな朝の日常を旬くんはいつも口をパクパクさせている。

●天使のオラーはわかる。その日常がもうすぐなくなることを・・・

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