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旬くんにはわかるまい~社長のお仕事編

天使のオラーお気に入りの旬くんは20歳半ばの長身のサラリーマン、二枚目ではないが人懐こい顔でいつも口をパクパクさせている。
今の仕事は会社のコールセンターに廻されていた。
(サラリーマンだから仕方ない)
インバウンド専門だからお客様からの様々な問合せに適切な回答や対応や処理が望まれる。そのためには会社の商品や事情について豊富な知識や沢山の経験が求められるだが・・・
旬くんはその見習い、雑用の係で いつもアタフタしている。勿論、会社の極秘研究のストレスモニターになっている。そのことは旬くん本人は知らない。
とにかく、ここは怒られる。
旬くんが電話にでると怒鳴られる。
「どうなってるんだ?お宅の会社?」とか
いきなり「社長を出せ」が常套句、クレームがほとんど、
降りかかる試練が多く会社で一番の不人気の部署だ。
いつも怒られ損、怒る原因もその理由も判らないわけではないが
なぜ、最初から怒り口調なのか?
なぜ、人の話を聞かないのか?
自身の誤解を理解して問題解決なのなに「ありがとう」のひとつも言わず、ブチっと電話を切るのだろう。
心の闇を抱える人が多いとつくづくと思う。
また、コールセンターのオペレーターにも心の闇が伝播する。
オペレーターが闇を抱え、心に鬼を住まわせる。
そんなこんなは、このご時世、どこにでも転がっている普通の話。仕事ってそんなものと強がりを言うのは末期症状か?
水は低きに流れ、人は易きに流れる。
嫌な仕事は下に流れ、
おいしい話やお金は上に、上に流れる格差社会よ。
それよりも「クレームの多い。何て会社よ」と旬くんは思う。
商品、会社に問題あり。どんなクレームでもコールセンターにお任せで、すべては想定内とお客様はと末端社員を切り捨てても保身に走る点取り虫の経営陣のギャップは甚だしい。それでもまだ、会社はあった。
この不景気世の中、まだ、会社はあった。
ここ数年給料は上がっていない。会社の収益状況は悪くなり、全てマイナス予算だが、人件費は変わらない。むしろ社員の年収は下げられている。社長と選ばれし役員だけが増収する会社である。ブラック企業なのか?
「嫌なら辞めればいい」
厳しい状況に迫られると社長は思っている。
俺の変わりは誰もいない。他は誰でもできる。
収益上がらなければ人件費節約が一番というのが社長の考えだ。
リストラすることも厭わない。
リストラで仕事が苦しくなっても残ったもので何とかなるものだ。文句があるなら辞めてくれて大いに結構。
背に腹、背に腹、それが真実。
モチベーションなんて糞くらえ。
格差社会、そんなの関係ない。
今は会社の存続が大事なのだ。
まだ、会社の価値があるうちに上手に高く会社の売却を進める!それが社長の俺の仕事だ。
そんなことは露知らず
「お客様、何かございましたか?」と切り返し必死に受け答えしている一生懸命炉な旬くんであった。
いつものように、口をパクパクさせ漂っている。

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