③ 旬くんが無敵モードで目を閉じていると
ド―ンと勢いよく座る中年男に起こされた。その男は気づいていないだろう。とにかく乱暴。ケツに全体重を乗せてドーンと席に座るのだ。旬くんの一番後ろはベンチシートだから、その衝撃が諸に伝わった。近くの人もびっくりし、何事があったのか驚くものの注意するまで及ばなかった。いかにも無神経なそうな中年男は、よく見ると変だ。よく会社でやっていけるものだと旬くんでも思うほどであった。彼は病気だ。彼は席に座るや否や1分もかからず眠りに入る。「グウ、ググググー・・・」大きな鼾をかく。しかも大きい鼾の往復が連発する。
「グウ、ググググー、グウ、ググググー・・・」
この騒音公害に、誰も無関心を装い、知らないふりを決めこむ。
関わっても面倒だ。避けるのが一番だ。
むしろ鼾の合唱を楽しんでいる。
旬くんは心の中でつぶやく。
「オーケ―グーグル 耳栓だ。」
続